2022年3月の試験で甲種危険物取扱者の試験に高得点で合格したので、勉強方法や勉強時間について紹介します。
この記事では理系の方向けの勉強方法ですが。乙種危険物取扱者試験の勉強をしたばかりで基本的な知識がある方にも活かせる勉強方法です。とにかく暗記の苦手な方は必見です!
甲種危険物取扱者試験の受験資格、試験日、合格率は?
受験資格
甲種危険物取扱者試験の受験資格は以下の通りです。
対象者:〔1〕大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
対象者:〔2〕大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
対象者:〔3-1〕乙種危険物取扱者免状を有する者(実務経験2年以上)
対象者:〔3-2〕乙種危険物取扱者免状を有する者
対象者:〔4〕修士・博士の学位を有する者
https://www.shoubo-shiken.or.jp/kikenbutsu/qualified01.html
化学系の学科出身の方は〔1〕か〔4〕を満たす場合がほとんどだと思います。わたしは〔1〕の条件で受験しました。
理系でも化学系以外の方は〔2〕か〔3〕を満たせば甲種危険物取扱者試験の受験が可能です。大学の成績証明書を確認してみましょう。〔3〕の場合は指定された乙種の免状が必要ですのでご注意ください。詳しくは一般財団法人 消防試験研究センターのHPをご確認ください。
試験日
試験日は受験会場(都道府県)によって異なります。ご希望の受験場所は一般財団法人 消防試験研究センターのHPをご覧ください。
合格率
全国の甲種危険物取扱者試験の合格率は約30~40%となっています(https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/)。国家資格の中では比較的合格率は高い試験です。
合格には「性質と消火」、「法令」、「物理学と化学」それぞれで60%以上正解する必要があります。1科目でも60%を下回ると不合格となってしまいます。
甲種危険物取扱者試験の受験申込時点の筆者のスペック
転職先の現在の会社で入社早々、甲種危険物取扱者試験が4か月後に迫っていることを知らされました。そのときのわたしのスペックです。
- 社会人3年目
- 卒業から約3年間、化学から離れていた
- そのため化学は高校レベルも怪しい(特に有機化学)
- 暗記が大の苦手(高校時代の歴史系科目は赤点の常連)
- 会社での一斉受験のため落ちたら恥ずかしい!!
大学の専門も化学工学だったため、化学反応式や有機化学のような化学っぽい化学とは大学2年以来疎遠でした。つまり化学をちゃんと勉強するのは約5年ぶりでした。
そんなわたしでも本番で正解率94%の高得点で合格できました!以下本番の得点です。
- 危険物に関する法令 14/15
- 物理学及び化学 9/10
- 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 20/20
学生時代から暗記が大の苦手かつ化学としばらく疎遠だったわたしが、甲種危険物試験に高得点で合格できた勉強方法を紹介します。
甲種危険物取扱者試験の勉強に使用した教材
わたしが実際に勉強で使用した教材を紹介します。
教科書:【ユーキャン 甲種危険物取扱者試験 速習レッスン】
こちらは教科書として使用するテキストです。イラストや表が多めで堅苦しさを感じさせないテキストです。各単元の最後に○×形式の確認問題があるため、「テキストを読む→問題を解く」というサイクルをこまめに繰り返すことができ定着しやすいです。
また、最後のページに予想模擬問題が2回分ついているため、本番直前の力試しができるところもポイントが高いです。
問題集:【公論出版 甲種 危険物取扱者試験 令和4年版】
こちらは王道中の王道の問題集です。過去問が単元ごとに分かれています。甲種危険物取扱者試験の問題は、過去問と似た問題がよく出るので、この問題集を制覇すればほぼ合格ラインに達します。
解説が不十分な問題がたまにありますが、教科書やGoogle先生を駆使すれば解決できるので問題ないです。
甲種危険物取扱者試験の勉強時間と勉強方法
合格までの勉強時間
甲種危険物取扱者試験当日までのトータルの勉強時間は約85時間でした。

甲種危険物取扱者試験日の約4か月前から勉強を始めました。4か月間の勉強時間は以下の通りです。
- 11月(4か月前):15~30分/day
- 12月(3か月前):30分/day
- 1月(2か月前):平日30分~1時間、休日1~2時間
- 2・3月(1か月前~直前):平日1時間~2時間、休日2~3時間
平日は仕事から帰ってきてから勉強をするので、2時間が限界です。15分でも良いので毎日続けることが大事です。
勉強スケジュールと勉強方法
甲種危険物取扱者試験日までの約4か月間の勉強スケジュールです。大まかな勉強の流れは性質・消火→法令→物理と化学です。性質と消火、法令は覚えなければいけないことが多いため、優先的に勉強しましょう。
これはあくまでも目安ですが、甲種危険物取扱者試験本番までに問題集は約5~6周くらい解きました。体感では3周目あたり(だいたい本番2か月前)からすらすら解ける問題が増えてきました。
日々の勉強のサイクルとしては前日の復習→その日の単元(→その日のまとめ問題)の繰り返しです。間違えた問題には印をつけて、復習しやすいようにしておきましょう。
11月(4か月前):性質・消火
勉強範囲:教科書の「性質・消火」
★1か月の勉強スケジュール

★毎日の勉強の順番
- 第1類~第6類の名称の暗記(最初の1~2日)
- 前日の単元の復習(前日の範囲をさっと読む→間違えた問題を解きなおす)
- 各類の小単元を1~2つずつ進める
- その日の単元のまとめの問題
これでちょうど1日30分くらいです。
酸化性固体って第何類?というレベルだったので、第1類~第6類の名称の暗記から始めました。その後、毎日各類の小単元1~2つと各類ごとの最後にあるまとめの問題を解いていました。(例:第1類の1-1、1-2と対象のまとめ問題)
勉強のポイントとしては、最初の1か月目は各類の共通する性質と消火方法をしっかり押さえてください。例えば第1類酸化性固体は不燃性だけど酸化させる性質があるから還元性物質との接触はNG、消火方法は水で冷却消火だけどアルカリ金属の過酸化物は水NG、といった感じです。ざっくりでいいです。結晶の色や引火点など細かい情報は後回しで大丈夫です。
最初は知らない物質ばかりで、しかも1つの物質あたりの性質が多すぎて覚えられません。絶望的な気持ちになります。でもそれが普通なので安心してください。
12月(3か月前):性質と消火、法令
勉強範囲:教科書、問題集の「法令」、「性質と消火」
★1か月の勉強スケジュール

★毎日の勉強の順番
- 前日の単元の復習(前日の範囲をさっと読む→間違えた問題を解きなおす)
- 教科書:各類の小単元を1~2つずつ進める、問題集:4~5単元ずつ進める
- 教科書:その日の単元のまとめの問題
- 土日は教科書の「性質と消火」を読む、まとめ問題を解く
これで1日30分~1時間くらいです。
「法令」もざっくり1周します。ただ「性質と消火」よりも馴染みやすい単元もあると思うので、『公論出版 甲種 危険物取扱者試験 令和4年版』でどんどん演習を重ねるのがおすすめです。よく出る単元とめったに出ない単元で二極化しているので、傾向を把握する意味でも教科書と同時に進めるくらいでも丁度良いです。
「性質と消火」土日に教科書を読んで問題を解くくらいで、忘れない程度に勉強してました。1か月間で教科書を1周できるくらいのペースで大丈夫です。
1月(2か月前):性質と消火、法令、(物理と化学)
勉強範囲:教科書の「物理学と化学」、問題集の「性質と消火」、「法令」
★1か月の勉強スケジュール

★毎日の勉強の順番
- 前日の復習(前日間違えた問題を解きなおす)
- 平日:「性質と消火」は2日で1類ずつ、「法令」は1日3単元ずつ
- 土日:教科書の「物理学と化学」を1か月で1周できるペースで進める
これで平日30分~1時間、土日1時間くらいです。
この1か月は、問題集を解いて「性質と消火」と「法令」の範囲の本番の出題形式になれることです。この時点では「性質と消火」の内容は全然覚えきれていないと思いますが、とにかく問題を解いて出題傾向を把握するのが近道です。「法令」に関しては何となく覚えてきたかなというレベルに達しているとベストです。
土日は教科書の「物理学と化学」でさっと復習していきましょう。「物理学と化学」の問題のレベルは高校の基礎レベルです。理系で物理・化学選択の方であればすぐに思い出せる内容なので、余力があれば問題集を進めていくのもありです。
2~3月(1か月前~直前):全範囲
勉強範囲:問題集の「性質と消火」、「法令」、「物理学と化学」
★1か月の勉強スケジュール

- 直前:問題集で苦手な範囲・間違えた問題を解く、教科書の予想模擬試験を2周
★毎日の勉強の順番
- 前日の復習(前日間違えた問題を解きなおす)
- 「性質と消火」は1~2日で1類ずつ、「法令」は1日5単元ずつ、「物理学と化学」は1週間で1周
- 直前期は苦手な問題、よく間違える問題、予想模擬試験を中心に解く
甲種危険物取扱者試験の1か月前~直前期はとにかく問題演習。曖昧なところは教科書をこまめに確認して知識を定着させることが大事です。
まとめ
甲種危険物取扱者試験はしっかり勉強すれば受かる試験です。最初は見慣れない物質名ばかりで「本当に受かるかな…」と不安になりますが、勉強した分だけ必ず身になるので諦めずに毎日勉強を続けてみてください。
合格できるよう応援してます!